谷川や上野が中央-周辺の二重構造や地方によって分断された労働者の連帯を主張し、そのためにサークル活動をつなげる「サークル村」をつくりながらも、その枠組みから(炭鉱には女性の労働者がいるにもかかわらず!!)女性を排除しようとしたのに対し、森崎は女性も含めて、そして朝鮮籍の労働者を含めて連帯をつなごうとする姿勢を貫いているのがとても興味深い。このような労働者におけるジェンダーの問題が炭鉱の労働争議以降、森崎がからゆきさんや慰安婦問題に関心をよせていく契機でもあった。
物をもたない周辺化された人々が連帯を構築しようとするとき、いつも亀裂が走り分派してしまう。左派が抱え続けているこの問題の多くが60年代に噴出していたことが明らかにされ、そして今も克服できていないことを痛感する。
高度経済成長によって忘れ去られてしまったこの経験は、今問題になっている派遣労働者と正社員の格差問題、性差別問題、人種差別問題などに取り組んでいる多くの人々にとって振り返られるべきことではないだろうか。一読をお勧めしたい。
『サークル村』と森崎和江 ―交流と連帯のヴィジョン―
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水溜 真由美
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